日本企業において帳票は必要不可欠であり、企業システムを刷新する場合には、帳票印 刷システムを見直す必要も出てきます。 その際に課題になるのは、多種類の帳票をどうすれば低コストで移行できるかということです。またペーパーレス化を推進する場合には、電子化した帳票をどうやってセキュアに配信するかという問題も発生します。 そこで、実際にこれらの課題に直面した企業の事例をベースに、課題解決の方法につい て解説します。
- 目次
-
- 帳票印刷システムをリプレースしたいが......
- 膨大な帳票数のシステムを簡単にリプレース
- 個人情報を含む給与明細の印刷を 4 日から 1 日に短縮
- 175 事業所、29,000 サプライヤーの注文書・納品書印刷を効率化
- きれいな帳票を簡単設計、高セキュリティー印刷を実現する PrintPro 2.0
帳票印刷システムをリプレースしたいが......
日本企業の業務システムにおいては、帳票出力は必須の機能といえます。
歴史のある企業では、場合によっては何十年も同じ帳票印刷システムを使い続けていることがあります。
業務上の観点からリプレースの必要を感じないため、旧式のドットプリンターを使い続けているところもあります。
しかし、旧式の帳票印刷システムを永久に使い続けられるわけではありません。たとえばオフコンやサーバーがサポート切れになったり、大型汎用機(ホスト)からオープンシステムに移行したりする場合には、帳票印刷システムを一新する必要が出てきます。
また事業の拡大によって、帳票が増えすぎて、従来の帳票印刷システムでは業務継続が難しくなることもあります。
たとえば、帳票の種類や配付先が多くて、それに対応する人員、作業量および時間がかかりすぎて他の業務が滞ったり、コスト高で収益を圧迫したりするような場合です。
以上のような事情で帳票印刷システムをリプレースすることになった場合に、課題になることは何でしょうか。
汎用機やオフコンの場合には、帳票印刷プログラムを独自開発している場合があります。
帳票が数種類しかないのであれば、新しい環境で新たにプログラム開発をするのも選択肢の 1 つです。
しかし、数百種類の帳票がある企業も珍しくありません。数百種類の帳票を印刷するプログラムを改修するには膨大なコストがかかります。 また開発をした人が、自社に残っているとは限りません。開発ベンダーに委託した場合も同様で、担当者が残っているとは限りません。そのような場合、プログラムの設計思想やソースコードの意味が分からなくなってしまい、改修自体が困難になります。
帳票印刷システムをリプレースしたくなる別の理由もあります。たとえば、紙に印刷すること自体や、
ネットワークでの印刷データ配信などで、セキュリティーに問題があると感じた場合です。 このような場合にも、できる限りプログラム開発を避けたいのは同様でしょう。
では、どうしたらいいのでしょうか? 以下、実際の事例に基づいて、解決策を見ていきましょう。
膨大な帳票数のシステムを簡単にリプレース
A 社様は、資本金約 5 億円、従業員数 250 名の中堅製造業です。
これまで独自開発していた基幹系システムを、SAP 社の統合業務パッケージに移行することになりました。
それまではドットプリンターで印刷していましたが、この機会にプリンターも最新式にリプレースすることにしました。 また長年の間に少しずつ帳票種類を増やしてきたため、帳票フォームに統一感がありませんでした。
そこで、フォームの標準化も図ることにしました。 A 社様では、帳票フォームを定義して、フォームにデータを埋め込むタイプの帳票印刷ツ ールを利用していたのですが、帳票種類が200を超えていたため、開発費用を見積もったところ高額になることが分かりました。
またこのツールを使って開発した要員が退職していたため、開発ノウハウが失われており、改修自体が困難になっていました。
そこで、A社様が採用したのが、PrintPro2.0(最後に詳しく説明します)を活用した帳票システムの再構築でした。
PrintPro2.0 は既存ツールの帳票フォーム定義を再利用でき、またプログラム開発も簡単に行うことができるため、膨大な工数とプログラマを要さずに簡単に新帳票印刷システムに移行することができました。
また Windows に対応しているプリンターであればどれでも利用可能なため、最新のプリンターにも自動的に対応することができました。 開発自体が簡単であるため、新たにノウハウの蓄積と継承も可能になりました。
個人情報を含む給与明細の印刷を 4 日から 1 日に短縮
B 社様は、資本金 1 億円、従業員 2,000 名の大手運送業者です。
様々な業務で先進的なシステム化をしてきましたが、給与明細の配付に関しては手作業が残っていました。
全国に存在する多数の拠点に正社員、パートタイマー、アルバイトが在籍しています。就業形態も様々で、就業形態ごとに給与明細を印刷して、本社で拠点ごとに分類して、配送し、 拠点では手渡しをするという煩雑な業務を行ってきたのです。
給与明細は取扱注意の個人情報に該当しますが、紙に印刷して配付していたため、本社での作業時、配送時、拠点での配付時のそれぞれで紛失等の怖れがあり、セキュリティー面での問題も抱えていました。
このように様々な問題を抱えているのに給与計算システムを変更しなかったのは、システムがかなり複雑だったため、改修すると膨大なコストがかかるからです。 一方で、セキュリティー面の課題を解決するために、紙の給与明細を廃止し、電子化することにしましたが、PDF で配付すると盗み取られる怖れがあるため、別の方式がないか検討していました。
そこで、 B社様が採用したのが、PrintPro2.0 を活用した給与明細配付のWeb化でした。
これにより給与計算システムに手を加えることなく、帳票印刷部分だけ PrintPro2.0 を 適用することで済みました。プログラム開発が容易なため、コストと期間をかなり抑えるこ とができました。 Web化により、給与明細の配付に多数のプロセスが必要だったのが 5 分の 1 になり、そ れまで給与計算システムの締め日から給与明細の配付に 4 日かかっていたのが、わずか 1 日で済むようになりました。
従業員は、スマートフォン、タブレット、PC など様々なデバイスでの明細確認が可能になりました。従来通り紙の給与明細が欲しい場合は、Webブラウザーから各自が印刷すればよいので、紙の給与明細を求める従業員からの不満も出ませんでした。
175 事業所、29,000 サプライヤーの注文書・納品書印刷を効率化
株式会社オネスト様は、発注型 Web-EDI システム「e 商買」を運営する IT サービスベンダーです。
e 商買は、発注側とサプライヤーをインターネットで双方向に接続して、調達業務に必要 な見積、受発注、出入荷、決済等の情報の送受信を行うサービスです。 Web ブラウザーで業務処理が行えることから参加企業でのシステム開発が不要であり、低コストで導入できます。その利便性から、国内外で 175 事業所が利用し、参加しているサプライヤーは 29,000 社を超えます。 ただ、以前の e 商買は大きな課題を抱えていました。それは、取引先向けの注文書と納品書の印刷に多大の時間を要し、また仕分けおよび送付作業では時間だけでなく多くの要員も必要としていたことです。 特に取引先への注文書到着に時間がかかることは、発注リードタイムが長くなるため大きな問題でした。
そこでオネスト様は、JB アドバンスト・テクノロジーと協業し、e 商買に PrintPro の印刷エンジンを組み込むことにしました。
これにより注文書と納品書がデータして送付され、取引先側で注文書と納品書を印刷す る仕組みに変わりました。その結果、発注リードタイムが大幅に短縮しました。 帳票が紙でなくデータ化されたため、オネスト様での印刷時間は大幅に短縮され、注文書と納品書の仕分けおよび送付作業が不要になりました。そして、仕分けと送付を担当していた要員の有効な再配置が可能となりました。 それだけではなく、バーコード印刷もできるようになり、受入業務も効率化できました。 また PrintPro 2.0 が Windows 対応プリンターならどれでも利用できるため、参加企業のほとんどが既存のプリンターを利用することができたのです。
きれいな帳票を簡単設計、高セキュリティー印刷を実現する PrintPro 2.0
ここまで見てきたように、PrintPro 2.0 を活用することで、帳票印刷システムのリプレー スを簡単に行うことができます。
では、PrintPro 2.0 とは具体的にはどのような製品なのでしょうか。ひと言でいえば、帳票設計から印刷までも統合的に支援する帳票作成ツールです。
帳票設計は極めて簡単です。 作りたい帳票イメージをスキャナで読み込んで PrintPro 2.0 のデータ形式に変換し、
それをパソコン上で手軽に編集できます。明細の集計等の計算処理が必要であれば、編集画面で指定するだけです。
PrintPro 2.0 には、利用シーンに応じた 2 種類の製品があります。
社員や取引先がそれぞれ自分のパソコンで帳票イメージを閲覧し、必要に応じて印刷す る場合には、クライアント版をお薦めします。
プレビュー後に、必要なページのみを印刷す ることで紙の大幅な削減が可能となります。 Web ブラウザー上からの印刷となりますが、日本企業が必要とするレベルの高精度印刷 が可能であり、また多くの種類およびバージョンのブラウザーに対応しています。
大量印刷業務をご希望の場合には、サーバー版をお薦めします。大量のバッチ印刷および サーバーからのダイレクト印刷が可能となります。 紙を削減したいのであれば、帳票を PDF として出力することもできます。 また複数のプリンターを集中管理することも可能です。
なお、どちらの製品でも、特定のフォルダーを監視して、そこにデータが出力されると自 動的に印刷を開始するバッチ印刷機能を備えています。
PrintPro 2.0 の特長をまとめると以下の通りです。
バーコード、2 次元コード、社印、会社ロゴなどのイメージを簡単に付加
罫線・テキスト・イメージなど全てのオブジェクトを 0.1mm 単位で自由に配置
基幹システムからはデータを渡すだけ、帳票の修正は全て PrintPro 2.0 側で対応の ため、開発工数を大幅に削減できる
CSV ファイルでの連携のため、基幹システム側を変更しても、PrintPro 2.0 を継続して使用可能
Windows 対応プリンターであれば、そのまま帳票印刷が可能なので、新規プリンタ ー導入コストが不要になることが多い
帳票は「会社の顔」ですから美しくあるべきです。また、見やすい帳票はお客様へのおもてなしといえます。
帳票印刷システムのリプレースが必要となる際には、きれいな帳票を簡単に設計でき、高セキュリティーでの印刷を実現する PrintPro 2.0 を選択肢に加えることを強くお薦めします。