ノーコード(NoCode)、ローコード(LowCode)という言葉が知られるようになり、非IT部門の担当者の中でも「ノーコード開発/ローコード開発プラットフォーム」が話題になっています。中には「業務改善に役立つアプリケーションをノーコードで開発したい」と考える方もいるでしょう。
しかし、国内外にはさまざまなノーコードシステムがあるため、その中でどのシステムが自社に適しているのか迷ってしまう方も少なくないはずです。
そこで今回は、日本の代表的なノーコードツールの1つである「kintone(キントーン)」の概要とノーコード開発についてご紹介します。ノーコード開発時の注意点や、自社に適したノーコードシステムの選定方法についても言及していますので、ぜひご覧ください。
- 目次
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- kintoneとは何?何ができる?
- ノーコードとは?
- ローコードとの違い
- kintoneはノーコードで開発できる現場の業務を改善するプラットフォーム
- 現場(職場)に特化したノーコードシステムのメリット
- ノーコードを開発する際の注意点
- 大規模開発に不向きという点を理解する
- 目的に合ったツールを選ぶ
- リスクを把握する
- 自社に合ったノーコードシステムを選定する方法
- まとめ
kintoneとは何?何ができる?
kintoneとは、サイボウズ株式会社が提供する「ビジネスアプリ構築クラウドサービス」です。テンプレートがあり、操作はドラッグ&ドロップで行えるため、プログラミングなどの専門知識がない方でも気軽にアプリケーション開発が行えます。
業務内容に合わせて個別にアプリケーションを製作できるため、顧客情報や案件情報などを整理しやすく、必要なときに必要な情報をすぐに取り出すことが可能です。エクセルやメール、紙の書類など、バラバラになりがちなデータを一元管理できる他、コミュニケーションツールとしても活用できるため、情報共有がしやすく、チームの共通意識を高めることにも役立ちます。
kintoneの詳細はこちらから
ノーコードとは?
ノーコードとは、プログラムコードを書かなくてもアプリケーション開発ができることを意味します。
そのため、このノーコードシステムを利用すれば、プログラム技術の無い人でもかんたんにアプリケーションを作ることができ、あらかじめ用意されたテンプレートなどを画面上の操作で組み合わせてアプリケーションを製作することが可能です。
基本的に、ノーコードシステムは使用できる機能が決まっており、拡張機能はありません。
複雑な作業には不向きのため、小規模開発や単一機能のアプリケーション開発におすすめです。
操作はクリックやドラッグ&ドロップなどの簡単なものなので、プログラミングなどの専門知識がない非IT部門の方でも扱えます。
単純なアプリケーションなら、システム部門に依頼しなくても開発できるため、部門間での会議や打ち合わせなどを行う必要がなく、浮いた時間をコア業務に充てるなど有効に使えるでしょう。
ローコードとの違い
開発時に
「コーディングの必要がない」ものがノーコード、
「少ないながらもコーディングの必要がある」ものがローコードです。専門知識がなくても使用できるノーコードに対して、ローコードはある程度の知識がなくては扱いが難しいと言えます。
ただ、ローコードは自由度が高いという魅力があります。使用できる機能が決まっているノーコードとは異なり、ローコードはオープンAPIやアーキテクチャを利用して機能を拡張することが可能です。外部のソフトウェアとの統合もできるため、さまざまなアプリケーション開発に役立ちます。
kintoneはノーコードで開発できる現場の業務を改善するプラットフォーム
kintoneはノーコードであり、ローコードでもあります。というのも、kintoneは標準機能の範囲で使用する場合はノーコード開発に分類されますが、プラグインやAPIなどの他システムなどと連携してカスタマイズを行うことでローコード開発が可能になるためです。
現場によってノーコードだけで充分というケースと、ローコードでなければ対応できないというケースがあるでしょう。
非IT部門が使用する場合、ローコードだとコーディングが必要になるため、利用者の混乱を招き、継続したシステム利用につながりません。
しかし、ノーコード開発とローコード開発の両方の利点を持ったkintoneは、エンジニアなどの専門家はもちろん、非IT部門の方でもアプリケーション開発が可能なので、現場の課題をスムーズに解決に導くことができます。
現場(職場)に特化したノーコードシステムのメリット
kintoneをはじめとするノーコードシステムのメリットはいくつかありますが、何よりも「現場ですぐに必要なアプリケーションを開発できる」という点は大きな魅力です。
通常のアプリケーション開発では、依頼する業務部と開発者、あるいはクライアントとベンダーの間で認識の齟齬が発生することも少なくありません。希望が正しく反映されるとは限らないため、不備があれば何度もやりとりを行う必要が出てきます。
しかし、ノーコード開発なら業務内容を熟知した現場のスタッフが自らアプリケーションの制作を行えます。イメージどおりのものを製作できる可能性が高いため、現場の業務効率をグッと高めることが可能です。
また、ノーコード開発なら不要なやりとりを省くことができるため、短期間でアプリケーション製作を行えます。加えて、依頼にかかる製作コストを気にする必要がないため、時間も費用も必要な部分に回せて効果的です。
ノーコードを開発する際の注意点
こちらでは、ノーコード開発の注意点について解説します。
大規模開発に不向きという点を理解する
先でも述べたように、ノーコード開発では使用できる機能が決まっているケースが多く、大規模開発で求められる複雑な機能を実現できないことも少なくありません。また、データが増えると処理速度の低下やバグの発生といった問題が発生することもあります。
そうなると、システム部門に依頼したり外部に発注したりする必要が出てくるため、開発したいアプリケーション(実現したい業務)がノーコード開発にて実現可能かどうかを自社のエンジニアなど専門知識を有する方に相談してみましょう。
なお、kintoneのようにノーコードとローコードの良さを取り入れたシステムなら対応できる幅も広がります。ぜひ、ノーコードシステム選びの参考にしてみてください。
目的に合ったツールを選ぶ
ノーコード開発におけるミスの1つに「目的にそぐわないツールの利用」が挙げられます。ノーコードシステムと一口に言っても、それぞれに特徴があります。もちろん向き不向きもあるため、どのシステムを選んでも良いわけではありません。
大切なのは「ノーコードシステムを利用して何をしたいのか」「どんなアプリケーションを製作したいのか」を考え、それに適したツールを選ぶことです。これを怠ってしまうと開発に時間や手間がかかったり、最悪の場合開発まで辿り着けません。こうしたトラブルをできるだけ防ぐためにも、目的を明確化した上で最適なツールを選びましょう。
リスクを把握する
ノーコード開発における大きなリスクは「システムを提供するプラットフォームに依存してしまうこと」です。自社で管理し、1からコーディングする場合、業務の変更に合わせてアプリケーションの仕様を変更しなければならない場合もエンジニアなどの采配で行えます。
しかし、ノーコード開発ではシステムを提供するプラットフォームが管理を行います。機能変更などを瞬時に行えないことがある他、サービスの終了とともに開発したアプリケーションが使用できなくなる恐れもあるのです。こうしたリスクがあることを把握した上で、ノーコードシステムの導入を進めましょう。
自社に合ったノーコードシステムを選定する方法
自社に合ったノーコードシステムを選ぶためには、前項で述べたように「目的を明確化する」ことが大切です。製作途中でのシステム変更は時間も費用もかかるため、得策とは言い難いもの。事前に目的を明確化し、候補に選んでいるノーコードシステムで開発できるかを確認すれば、導入後に「使えない」と困ることもなくなるでしょう。
システムが自社に適しているかを確認するには、実際に使ってみるのが早いです。無料トライアルがあるノーコードシステムを選び、特徴や操作性などを確認してみましょう。
また、質問ができる環境が整っているかも確認しておくことをおすすめします。ノーコード開発はコーディングが不要ですが、初めて扱う場合はわからないことも多いです。そんなときに質問できる環境があれば、導入後に困ったことがあっても対処がしやすく安心です。
まとめ
ノーコード開発に踏み出せば、これまで以上に現場の業務効率を高められます。
ただし、ノーコードシステムには向き不向きがあるため、目的に適したツールを選ぶ必要があります。
システムを導入して何をしたいのか、どのような機能を有するアプリケーションを開発したいのかなど、
自社の目的を明確化した上でノーコードシステムの選定を行いましょう。