新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に広がった2020年、多くの企業が感染予防対策に追われ、テレワーク導入率は前年度9.8%から19.7%増えました。
テレワークに対応できた企業がいる一方で、テレワークを導入したものの多くの課題を抱えてしまったという企業も少なくありません。
そこで今回は、テレワークの実情に加えて、導入後に企業が抱える課題や解決策について解説します。合わせてJBグループのテレワーク実現事例と、ペーパーレスソリューションについても紹介いたしますので、ぜひご覧ください。
- 目次
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- テレワークの実情
- テレワーク導入後、企業が抱える課題
- 業務内容の課題
- データ管理における課題
- マネジメントにおける課題
- 環境整備における課題
- テレワーク導入後の課題解決策
- クラウドサービスを活用する
- 人事制度の見直し
- 情報セキュリティ対策
- テレワーク導入はローコストで可能
- テレワークの実現事例
- 紙に関わる業務課題を改善 ペーパーレスソリューション
- まとめ
テレワークの実情
日本労働組合総連合会が実施した「テレワークに関する調査2020」によると
コロナ禍以降にテレワークを導入する企業は増えており、実際にテレワークを行った方の中には
「今後もテレワークを継続したい」と考える方が多いようです。
その一方で、下記のような理由からテレワークを導入していない企業も多く、テレワークの課題が浮き彫りになる結果となっています。
・そもそも業務がテレワークできない、適さない
・テレワークにすると業務が追いつかない
・Web会議の機材やソフトを社員に提供できない
・社員の就労状況が見えない
・顧客対応に懸念が残るため踏み切れない
・セキュリティ面に不安がある
こうした課題が多いのは事実ですが、通勤のストレスがなくなり、家族の会話が増えたり、プライベートの充実化につながったりと、
テレワークが生活面に良い影響を与えることも少なくありません。また、近年推奨されるDX(デジタルトランスフォーメーション)に邁進するためにも、新しい働き方に舵を切る必要があるでしょう。
テレワークはその一歩。少しずつ課題をクリアし、
テレワークでもオフィスワークでも企業成長につなげられる仕組みを構築することが大切なのです。
テレワーク導入後、企業が抱える課題
冒頭でも述べたように、
テレワークを導入したことで新たな課題に直面したという企業は少なくありません。
日本労働組合総連合会が実施した「テレワークに関する調査2020」によって、以下のような課題が浮き彫りになりました。
出典:日本労働組合総連合会「テレワークに関する調査2020」テレワークは自由度が高い働き方ですが、課題を残したままだとたちまち業務環境の崩壊を招きます。
下記にて4つの大きな課題をピックアップしました。そこからさらに細分化した課題を紹介いたしますので、自社の抱えるテレワーク課題をまとめたり、今後導入したりする際に活かしてください。
業務内容の課題
業務内容の課題には、下記のものがあります。
社員同士の不公平感
全社的にテレワーク導入がうまくいくかというと、そうではありません。同じ会社であっても所属部署によって業務内容は異なり、業務によってテレワークに向き不向きがあるためです。
テレワーカーとオフィスワーカーが混在するようになると、どうしても双方の立場や労働環境の違いから社員同士に不公平感が生まれてしまいます。
不満を感じたまま仕事を行うことで、業務効率が伸び悩んでしまうかもしれないため、事情説明の徹底や、定期的なメンタルケアを行うなどの対策が必要でしょう。
コミュニケーション不足
テレワークは在宅勤務なので、社員同士のコミュニケーションが希薄になりがちです。
とくに、テレワーカーは朝礼や会議に参加しないでも良いとしている企業の場合、どうしてもテレワーカーへの情報共有が遅れてしまいます。
また、コミュニケーションが不足することで、部下のタスクや業務の進捗状況の把握がしづらくなるという問題も出てくるでしょう。
顔を見る機会が減ったり、言葉を交わす時間が少なくなったりすると、業務効率の低下を招くこともあるため、コミュニケーション不足を補うような工夫が欠かせないのです。
業務フローの問題(紙、ハンコ)
業務フローの問題に悩む方も多くいます。例えば、「過去のデータを確認したいけど紙の資料だから自宅では閲覧できない」「申請書類にハンコを押さないといけないけど、オフィスからの持ち出しが禁止されている」などといった場合
テレワークでは対応が難しいでしょう。結果、押印のために出社するというケースが発生し、より業務効率や生産性の低下を招きやすくなります。
データ管理における課題
データ管理における課題には、下記のものがあります。
非ペーパーレス化による生産性の低下
DX化に向けて舵を切る国内企業において、ペーパーレス化はDX化の重要な一歩です。
しかし、ペーパーレス化が進んでいない企業はまだまだ多く、テレワークにおいては紙でのデータ管理が生産性の低下を招く恐れがあります。
業務に必要な資料をすぐに確認できない、手元にあったとしても必要書類を探す手間がかかる、保管などにコストがかかるなど、紙でのデータ管理は現代にそぐわないものとなってきています。
生産性の低下は企業成長の足枷になるため、ITによるペーパーレスソリューションを導入するなどして、業務改善をしなくてはなりません。
勤怠などの時間管理
テレワーク用の勤怠管理システムを導入していない企業の場合、勤怠報告は社員の自己申告になるため
勤怠や労働時間などの管理がしづらくなるという問題もあります。
きちんと勤務時間内に働いているか、無理して過剰な時間業務を行っていないかなど、不安に感じる点は少なくないでしょう。どうしても勤怠報告の信頼度は低下してしまうため、テレワークのときは勤怠管理の仕組みを構築する必要があります。
マネジメントにおける課題
マネジメントにおける課題には、下記のものがあります。
人事評価の難しさ
テレワークだと社員の勤務態度や成果につながる行動を直接見ることができないため、正しい人事評価ができないという課題があります。
とくに、成果が数値として可視化しづらいバックオフィス業務の評価は難しく、人事評価を誤ると不満が蓄積しやすくなります。状況によっては離職を検討する社員が出てくる恐れもあるため注意が必要です。
環境整備における課題
環境整備における課題には、下記のものがあります。
コストがかかる
テレワークの導入には、PCやスマートフォンといった支給用端末の費用や、インターネット回線などの通信費用、光熱費等を補助する従業員への手当といったコストがかかります。
ランニングコストも考えると費用は膨大になるため、必要な経費を削るなどして捻出している企業も少なくありません。
データ共有の問題
グループウェアやチャットシステム、オンラインストレージなどがなければ、データ共有ができません。
業務進捗に遅れが出る可能性があるため、生産性にも影響してしまいます。
また、データ共有ができても、利用後に個人で所持したままになると、万が一のとき情報漏えいが起きる恐れがあるためリスクが伴います。業務に必要なデータを安全に共有する仕組みを作る必要があります。
セキュリティ上の課題
テレワーク=在宅勤務という印象が強いですが、コワーキングスペースやサテライトオフィス(※1)で業務を行うケースも珍しいことではありません。誰でも使える低セキュリティのネットワークを使用したり、会社から支給されたパソコンやUSB端末をなくしてしまったりすると、情報漏えいのリスクが高くなり危険です。
カフェなどの公共の施設で業務を行う場合、Web会議での声が周囲に漏れてしまうというケースもあるでしょう。
仮にトラブルが起きたときに被害が甚大ではないため、セキュリティに関する課題は最優先事項といっても過言ではありません。
※1:本社から離れた場所にある小規模オフィス。都市型・郊外型・地方型の3つの種類がある。
テレワーク導入後の課題解決策
テレワーク導入による課題は、下記の工夫で解決に導くことができます。
クラウドサービスを活用する
テレワークでは、クラウドサービス(ICTツール)を活用しましょう。
Web会議システムやチャットツール、ナレッジ共有ツール、ファイル共有ツール、勤怠管理ツールなど、電子契約サービスなど、テレワークを支えるクラウドサービスは多数ありますし、活用することによって出勤していたときよりも便利になることが数多くあります。無料トライアルなどを活用しながら、自社に適したツールを探してみてください。
人事制度の見直し
テレワークは、オフィスワークとは異なる視点から評価を行う必要があります。業務中の様子が見えないと不安になりますが、チャットワークなどで作業進捗を報告する、日報に生産性の計測結果を記載するというように、人事制度をテレワーク仕様に変えることで、全く不透明だった業務進捗が可視化できるようになります。
情報セキュリティ対策
セキュリティを向上させるために、セキュリティ対策ツールの導入を検討しましょう。
機密情報の処置・利用を防ぐものや、情報漏えい防止に強いものなど、あらゆるツールがあります。
社内のセキュリティポリシーを見直した上で、既存のセキュリティ対策を補えるツールを探してみましょう。
テレワーク導入はローコストで可能
テレワークは導入コストやランニングコストがかかりますが、使わなくなったオフィスの面積を縮小させたり、不要となった固定電話回線を解約する、電気使用量を削減する、テレワークの従業員の通勤費用を削減するなど、節約できる部分はたくさんあります。また、テレワークを進める企業は助成金や補助金の利用も可能です。
これにより、コストを下げながらテレワーク導入を進めることができます。
テレワークの実現事例
JBグループのバックオフィスを支えるC&Cビジネスサービス株式会社(C&CBS)は、出社率100%の業務部門(情報システム室のバックオフィス業務)にてテレワーク7割を達成しています。
FAXを電子化(PDF化)してメールでのやり取りに変えたり、Qanat Universeを使って電子FAXをkintone上で受け取り社内システムと連携させたり、電子ハンコを導入したりと改革を推進。2019年は年間78万枚使用していた紙を、2020年には40万枚まで削減することに成功しました。
C&Cビジネスサービス株式会社のテレワークの実現事例はこちら
【紙・FAX業務を自動化】JBグループ業務センターの毎月900件の請求書処理をテレワークで実現
JBグループ業務センターでは、取引先からの紙の請求書や、FAXでやりとりしていた納期回答書をPDF化し、様々な製品やサービスをつなぐクラウドプラットフォーム「Qanat Universe」に取り込みます。 手書き文字の筆跡や形を学習して文字認識精度を向上させるAI-OCRに加え、AIによる画像補正機能を組み合わせることで...
紙に関わる業務課題を改善 ペーパーレスソリューション
JBアドバンスト・テクノロジーのペーパーレスソリューションは、紙業務で課題を抱えた企業のニーズに適したサポートシステムを構築・提供します。
・手書きの発注書の入力
・紙のアンケートの集計
・FAXのOCR(文字認識)の精度が低い
・大量の紙データを電子化したい
上記に1つでも当てはまるなら、ぜひ下記のリンクをチェックしてみてください。
まとめ
テレワークにはまだまだ課題が多いため、一つひとつ課題を洗い出し、それに適した解決策を講じる必要があります。
例えば、クラウドシステムを利用したりデータ連携を行って自社システムの情報を自動化したりすることで、無駄なアナログ作業がなくなり、業務環境は大きく改善するはずです。導入が難しいと諦めず、自社に適した形でテレワーク導入の成功を目指してみてください。
システム連携による業務自動化、ペーパーレス化について知りたいという方は、ぜひJBアドバンスト・テクノロジー株式会社にご相談ください。