DX(デジタルトランスフォーメーション)が推奨される現代において、企業のデータ活用は必要不可欠です。
しかし、潜在的に有用なデータを活用できていない企業は多く、社内外に分散するデータを集めることさえできていないという企業も少なくないでしょう。
データを有効に活用するためには、社内外に散在するデータを収集・集約する仕組みを構築する必要があり、おすすめなのが「ETLツール」です。
そこで今回は、ETLツールの概要や機能、他のツールとの違い、導入の目的とメリットなどを解説します。JBATのETLツールについても紹介しているので、ぜひご覧ください。
- 目次
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- ETLとは
- ETLの3つの機能
- (1)抽出(Extract)
- (2)変換(Transform)
- (3)書き出し(Load)
- ETLツールと他ツールの違い
- ETLとEAI
- ETLとDWH
- ETLとBI
- ETLツール導入の目的とメリット
- データ品質の向上
- 開発の工数削減
- JBATのETLツール「Qanat」
- Qanat導入事例の紹介
- まとめ
ETLとは
ETLとはデジタルデータを抽出・変換し、データ集積場所である「DWH(Data Warehouse:データウェアハウス)」へ書き出す一連の流れを指す言葉です。
DWHにデータを保存する前段階の作業であり、各プロセスの頭文字を取って「ETL(イーティーエル)」と称されます。
1.デジタルソースから必要なデータを抽出(Extract)
2.扱いやすく分析しやすいフォーマットに変換(Transform)
3.DWHに書き出す(Load)
1990年代ごろ、ダウンサイジングによってオープン化が進み、システムの増加に比例するようにデータ量が増加。
データ保管場所が分散される事態が発生しました。そこで、これらを抑止するためにDWHという考え方が広まりましたが、
・ITシステム提供元によってデータ形式や文字コードがバラバラ
・Excelファイルなどの形式や運用方法が作成者ごとで異なる
・集約したデータがそのまま使用できない(変換・加工の必要がある)
上記の理由などからデータの活用がスムーズに進まず、ETLツールの必要性が高まりました。
1990年代後半ごろから出回り始めたETLツールは、現在多くの企業のシステムをつないでいます。
なお、DXが進む昨今では、データ連携の基盤であるETLツールと、API連携できるシステムを接続し、データ連携・データ活用の範囲をより広く構築している企業も登場しています。
ETLツールの導入と合わせて、APIの活用を検討してみるのも一案でしょう。
ETLの3つの機能
ETLツールの機能は大きく分けて「抽出(Extract)」「変換(Transform)」「書き出し(Load)」の3つ。
それぞれの機能については、下記のとおりです。
(1)抽出(Extract)
抽出(Extract)は、部署内外・社内外に点在する複数のデータソースから"分析に必要となるデータ"を抽出し、一か所に集約する機能です。
最初から不要なデータを省くので、分析にかかる工数を削減できます。
(2)変換(Transform)
変換(Transform)は、集約したデータを分析しやすい形式に変換する機能です。
例えば、ある商品に関するデータを集めたいとき、それらはデータベースにおいて「P051」などのID名などで保管されています。
そのままのデータを集めても、いざ分析する際に何の商品なのかが判別しづらいため、ETLツールによって商品名に変換するのです。
(3)書き出し(Load)
書き出し(Load)は、変換したデータをDWHへ保存する機能です。
これにより、BI(Business Intelligence:ビジネスインテリジェンス)ツールによる分析がスムーズに行えます。
ETLツールと他ツールの違い
ETLツールをより深く理解するために、各プロセスを担当する他ツールについても知っておきましょう。
ETLによるデータ処理は、「ETL・EAI→ⅮWH→BI」による手順で行われます。
ETLツールと他のツールの違いを知っておくことで、
「自社の課題解決に本当に必要なツールは何か」が見えやすくなります。
ETLとEAI
ETLは、あらゆる場所に分散している大量のデータを集約・変換・保存する役割を持ちます。定時・定常的にデータを高速処理できるため、集約されたデータを有効に活用でき
さらにそれらのデータを経営判断の材料に用いることも可能です。
一方、EAI(Enterprise Application Integration)は、直訳すると「企業(業務)アプリケーション統合」です。
その名のとおり、アプリケーションを対象としたシステム連携・データ更新を目的としています。
ビジネスにおけるプロセスの最適化により、スムーズな情報伝達を目指すのがEAIの役割といって良いでしょう。
処理能力やセキュリティを重視するならETLが推奨されますが、ETLとEAIはデータの更新頻度や範囲、役割が異なります。
状況に応じて使い分けることも視野に入れましょう。
ETLとDWH
ETLがデータを整理してDWHに運ぶベルトコンベアのような役割なら、DWHは扱いやすいように整理されたデータを保管するための倉庫です。
DWHに並ぶデータは目的別に並んでいるため、BIツールを使ったデータ分析もスムーズに行えます。
ETLとBI
ETLもBIもデータを取り扱うツールという意味では同じですが、ETLの役割はデータ整理、BIの役割はデータ分析です。
つまり、ETLによって整理されたデータがDWHに格納され、そのデータをBIが分析するという流れになっています。
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ETLツール導入の目的とメリット
ETLツールを導入することで、以下のようなメリットを享受できます。
データ品質の向上
ETLによるデータ変換処理能力は高く、例えば、データソースにおいてデータの重複・欠損・表記ゆれが生じていても処理工程で解消します。
また、必要であれば計算・集計をするケースもあるため、データ品質を向上させることが可能です。
正しいデータを活用できるため、作業の精度が高まる効果も期待できます。
データ活用で何をしたいのか、どう企業を変革するのかという本来の目的に邁進することができるでしょう。
開発の工数削減
あらゆるデータソースに点在するデータを、プログラミングによって統合しようとしたなら、単純にデータソースの数だけプログラムが必要になります。
そうなると開発工数やコストがかかるため、コア業務を圧迫してしまう他、人材獲得・育成などの新たな課題が持ち上がるでしょう。
しかし、ETLツールを活用すればプログラム開発の工数を削減しつつ、膨大なデータを素早く統合できます。
プログラミング技術や知識を有したエンジニア以外にもETLプロセスが管理できるようになるため、作業の属人化を防ぐことにもつながります。
JBATのETLツール「Qanat」
JBATのETLツール「Qanat(カナート)」は、企業内外(オンプレミス・クラウド)に分散したさまざまなデータを、他システムへ連携・変換できる"データ連携ツール"です。
ノンプログラミングで簡単に作業ができるため、エンジニアなどの専門人材が不足していても安心。
データの入出力はアイコン同士を線で結ぶだけなので、ドラッグ&ドロップの直感操作でデータ変換・連携ができます。
またコストパフォーマンスにも優れている点も、Qanatの魅力の一つです。
従来の高価なデータ連携ツールに比べ、低コストで導入できるので、コスト面が不安で導入に踏み切っていない企業にもおすすめです。
Qanat導入事例の紹介
オザックス株式会社さまは、Qanatによって請求業務の自動化を実施。事務作業と郵送コストが削減できたことで、繁忙期でも残業ゼロを実現しました。
導入事例については、下記の記事で詳しく紹介しています。ぜひ、合わせてご覧ください。
導入事例はこちら
まとめ
社内外のデータソースに保有している大量のデータを経営に活かすには、ETLツールが有効です。
ETLツールを使うことで、形式の異なる膨大なデータを使いやすいフォーマットに変換でき、また重複や欠損、表記ゆれなど不備のあるデータを正しく修正し、一か所に保存できます。
有用なデータをしまいこんでいるのは企業の損失になります。
ETLツールを活用しビジネスの知見を得ることが、これからの企業成長に必要になるため、ぜひETLツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
ETLやQanat、API連携などについて詳しく知りたいという方は、ぜひご相談ください。