ビックデータの活用を阻害する要因の一つに「サイロ化」が挙げられます。
サイロ化は大企業のように多くの部門を抱える組織ほど発生しやすく、深刻化しやすいという特徴があります。
つまり、企業成長を成し遂げると必然的にサイロ化が進行するため、どの企業もサイロ化を解消・予防するための仕組みづくりを行うことが大切です。
今回は、サイロ化の概要と問題点、改善することで得られるメリット、サイロ化を解消する方法などをご紹介します。ぜひ、ご覧ください。
- 目次
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- サイロ化とは
- 企業組織のサイロ化
- 情報データのサイロ化
- サイロ化の6つの主な問題点
- データが活用されなくなる
- スピーディーな意思決定ができない
- データ解析や処理が困難
- 作業に手間がかかる
- 業績に悪影響を与える
- 顧客満足度が下がる可能性がある
- サイロ化を改善することによる4つのメリット
- 企業データの価値を高めることができる
- 最適な経営判断ができる
- 業務効率化
- 生産性向上
- サイロ化を解消するためには?
- サイロ化の状況を把握する
- 部門間の協力を得る
- 他部署のメンバーが交流する機会を創る
- データを統合するシステムを導入する
- まとめ
サイロ化とは
サイロ化とは、部門間やシステム間の連携ができない状態のことです。
そもそもサイロ化の"サイロ"は、穀物などの農産物・家畜の飼料などを保管する円筒形の貯蔵庫を指します。
サイロは、中に保管するものが混ざらないように個別に貯蔵するのが一般的です。
この様子から、「組織の部門間・システム間に壁があり、独立したことで連携が不足した状態」をサイロ化と呼びます。
ビジネスにおけるサイロ化は、「企業組織のサイロ化」と「情報データのサイロ化」の2つに大別されます。
企業組織のサイロ化
企業組織のサイロ化は、部門間やチーム間で連携ができていない状態を指します。
組織の縦割りが顕著にみられる企業は、部門間でのコミュニケーションがどうしても不足しがちです。
特定の目標に向かって一丸となり、集中して取り組めるというメリットはありますが、各部門が独自に仕事を進めてしまうと
その中でのみ情報が共有されるという閉鎖的な空間を生む原因にもなるのです。
複数の部門・チームにおける情報の連携が不充分になると、他の部門が持つ情報や業務内容を把握できなくなります。
結果としてプロジェクトの停滞や業務効率の低下を招いてしまうため、部門やチームにとらわれない横断的な協力体制が必要になります。
情報データのサイロ化
情報データのサイロ化は、部門ごとに活用しているシステム・アプリケーション間の連携ができていない状態を指します。
部門によって使用するデータのフォーマットが違うことは往々にしてありますし、中には特定のソフトウェアのみ有効なデータ形式を採用している部門もあるでしょう。
しかし、データの形式や保存先がバラバラだと、重要なデータを必要なときに充分に活用することができません。
情報データのサイロ化は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現にも歯止めをかける結果にもなるため、早期に解決することが望ましいといえるのです。
サイロ化の6つの主な問題点
こちらでは、サイロ化により引き起こされる主な問題を6つご紹介します。
データが活用されなくなる
サイロ化をそのままにすると、各部門の持つデータを統合できません。
いざデータを活用しようと思ってもデータ収集・分析・統合に多大な時間と手間がかかるため、貴重なデータを有効活用する機会を失ってしまう可能性があります。
それが繰り返されると、コア業務に注力する時間が減り業務効率は低下しますし
そもそもデータ活用に対して消極的になる部門が出てくる恐れがあるため、企業成長の阻害要因になってしまうでしょう。
スピーディーな意思決定ができない
健全な企業経営のためには、データに基づく意思決定が欠かせません。
しかし、サイロ化が起きると情報収集に時間がかかり、スピーディーな意思決定ができなくなります。
また、各部門から集めた情報を手動でまとめる必要も出てくるため、作業時間も人件費もかさみますし、ヒューマンエラーのリスクにもさらされます。
データ解析や処理が困難
近年、業務課題の洗い出しや作業効率を高めるため、AIやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)などのシステムを活用し
ビッグデータを有効活用する企業も登場しています。
しかし、サイロ化が起きると互換性のないデータを人の手でまとめなくてはなりません。
結果、ビッグデータを解析・処理するAIやIoTなどのシステムの導入が進まなくなります。
作業に手間がかかる
サイロ化は作業の手間を増やすことにもつながります。
データ統合の仕組みができていれば、データ入力や日報作成のように繰り返し行う単調作業は自動化することが可能です。
しかし、サイロ化が起きていると作業の自動化ができず、例えば別々の管理システムに同じ内容を入力するなどの重複作業が発生してしまうのです。
これらは作業効率の低下を招きますし、無駄な作業時間が発生することで残業が増える恐れもあります。
業績に悪影響を与える
各部門で使用するサーバーやシステムの維持には、さまざまなコストがかかります。
導入費用やサーバー代、セキュリティコストはもちろん、データ収集にかかる作業コストや人的コストも無視できないでしょう。
企業の業績に加えて従業員の士気にも悪影響を与える恐れがあるため、企業成長を阻害してしまいます。
顧客満足度が下がる可能性がある
企業の持つデータには、さまざまな接点から収集した顧客データも含まれます。
本来なら、顧客データを駆使して顧客ごとに適したアクションを起こし、ファン獲得・売上拡大の施策を打つのが望ましいといえます。
しかし、サイロ化が起きると「どの施策が成功したかまたは有効だったのか」「これまでクレームはあったのか」など
顧客一人ひとりに関するデータを共有できません。顧客データを充分に活用できなければ、顧客満足度が下がってしまうでしょう。
サイロ化を改善することによる4つのメリット
サイロ化を改善することで、下記のメリットを享受できます。
企業データの価値を高めることができる
サイロ化が解消されれば、企業内に散らばるデータを整理・統合・分析できます。
価値ある情報・データの可視化につながる他、活用方法を検討したり、必要に応じてすぐに取り出したりできるため
データの持つ価値や信頼性を高められるのです。
最適な経営判断ができる
サイロ化の解消によりビッグデータを解析・処理できるようになれば、時代や環境、市場の変化や顧客の動向を予測できるため
いち早くニーズを察知できます。これにより
意思決定のスピードが向上するため、企業にとって最適な経営判断ができます。
また、社会の動向を把握したり、ニーズを察知したりすることで、新たなビジネスアイデアを獲得するチャンスもできるでしょう。
収集したデータがビジネスに知見をもたらすこともあるため、イノベーションを生むきっかけにもなり得ます。
業務効率化
サイロ化された情報が統合されることで、これまで見えなかった業務の無駄を特定することもできるでしょう。
定型業務やルーティンワークなどの単調作業を自動化するなど、あらゆる改善策を講じることで無駄な作業を減らし
業務スピードの向上を目指せます。コア業務に注力できるため、残業も減らせるはずです。
生産性向上
コア業務にリソースを割けるようになると、新しいビジネスアイデアを提案したり、顧客へのアプローチ方法を模索したりと
機械による自動化ができない業務に時間をかけられます。
また、データ統合が進み部門間での情報共有が密になると、多角的な視点からより良いアイデアが生まれやすくなります。
驚くようなマーケティングの手法や、優れた製品の開発につながるきっかけにもなるでしょう。
サイロ化を解消するためには?
こちらでは、サイロ化を解消する方法をご紹介します。
サイロ化の状況を把握する
まずは、サイロ化の状況を把握することが大切です。
先でもお伝えしたように、ビジネスにおけるサイロ化には「企業組織のサイロ化」と「情報データのサイロ化」があります。
何が要因となってサイロ化が起きているのか、またサイロ化による問題がどの程度発生しているのかなど
今後取るべき行動を明確にするためにも、いま現在の状況をきちんと把握することが重要です。
部門間の協力を得る
サイロ化の解消には、部門間の協力が欠かせません。もちろんメンバー全員で取り組むべき課題ではありますが
まずは各部門の責任者が話し合い、目標を共有して相互理解を深めましょう。
「他部門はどのような業務を行っており、どのような情報を保有しているのか」「どのような情報を欲していて、それは自分たちの部門が提供できるのか」
など、仲間意識を持って協力体制を作り上げることが大切です。
他部署のメンバーが交流する機会を創る
自分の所属する部署だけにしか興味・関心がない、という方は少なくありません。
しかし、他部門への無関心はサイロ化を加速させる要因になるため、他部署のメンバーと交流する機会を増やしましょう。
例えば、部門の横断が必須になるプロジェクトを立ち上げたり、月に数回ほど勉強会やランチ会を開催したりするのも良いでしょう。
必ずしも業務に紐づける必要はないため、気軽に提案してみるのもおすすめです。
データを統合するシステムを導入する
データを連携・統合できるシステムを導入する方法もあります。
既存の社内システムをそのまま活用できるものや、APIを提供しているものなど、データ統合に役立つシステムはさまざまです。
システムを導入する際は、導入コストやランニングコストはもちろん、導入までの期間やサポートの有無、メンテナンスにかかる期間なども確認しましょう。
まとめ
サイロ化は企業の成長を阻害するため、全社レベルで目標を共有し、早めに対処することが大切です。
各部門で交流を持ち情報を共有する、自社の業務課題に適したデータ統合システムを導入するなど、部門間やシステム間で連携ができる仕組みを構築しましょう。
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