製造現場のペーパーレス化のメリットは?成功させるポイント・導入事例を紹介

2023/03/20

DX化の流れが加速し、製造現場においてもデジタル化・ペーパーレス化に踏み切ろうとする企業が増えています。しかし、製造現場は図面や記録などに紙書類を使用するケースが多く、また口頭での指示や作業の属人化なども相まってペーパーレス化などが進みづらいという側面があります。そこで今回は、製造現場にこそペーパーレスが必要な理由やメリット、導入の流れ、ペーパーレスを成功に導く4つのポイントなどを解説します。導入事例もご紹介しているので、製造業に従事する方はぜひご一読ください。とはいえ、ペーパーレス化がうまくいけば製造現場における働き方は便利になり、いくつかの課題を解決することも可能です。

目次
    1. なぜ製造現場にペーパーレスが必要なのか
    2. よくある工場の紙を使った業務
    3. 製造現場におけるペーパーレスのメリット
      1. 業務効率化
      2. 人手不足の解消
      3. コスト削減
      4. 書類保管場所の削減・有効活用
      5. セキュリティ対策
      6. 脱属人化
    4. 製造現場のペーパーレス導入の流れ
      1. 業務の洗い出し・可視化
      2. データの選別・見直し
      3. 目標の設定
      4. システムの選定
    5. 製造現場でペーパーレスを成功させるポイント
      1. 導入コストの見積もりを取る
      2. 社内教育
      3. 不具合などの事前準備
      4. 段階的にペーパーレス化を行う
    6. 製造現場のペーパーレス化・業務効率化の事例紹介
      1. 芙陽工業株式会社
    7. まとめ

    なぜ製造現場にペーパーレスが必要なのか

    製造業は、紙文化の根強い業界です。多くの企業で使用される紙書類(契約書、見積書、請求書など)の他、製品の設計図や製造指示書、製品リストなど製造業ならではの紙書類もあるため、膨大な量を管理・保管しなければなりません。

    また設計図などは製品や部品が廃番になるまでは破棄できず、さらにそれらの書類は各部門で管理するため、製品の変更点があるたびに管理する全ての図面を修正する必要があります。

    紙業務による負担が大きく、管理や保管などの問題も表面化しやすい製造現場だからこそ、ペーパーレスが必要といえるのです。

    領収書の管理にお困りの方には、下記記事でペーパーレス化の方法をご紹介しております。

    領収書をペーパーレス化する方法とは?メリット・ツール選びのポイントを解説

    紙業務からの脱却を目指すために、領収書などのペーパーレス化(電子化)は急務といえます。本記事では、領収書や経費処理をペーパーレス化するメリットやデメリット、ペーパーレス化の方法、注意点、導入事例などをご紹介します。ぜひ、ご覧ください。

    領収書をペーパーレス化する方法 ≫

    よくある工場の紙を使った業務

    製造現場における紙業務はさまざまですが、どの工場でも行われているのが紙書類の作成・管理です。多くの場合、ファイルやバインダーなどに綴じて紙書類を管理しているでしょうが、どんどん増える紙書類の管理は時間と手間がかかります。また書類の確認が必要になったとき、大量のファイルやバインダーから1枚1枚探すのは骨が折れるでしょう。

    さらに、工場内の衛生管理上、ファイルやバインダーのタイプにも気を使う必要があります。例えば、紙製だと劣化によって破片が落ちる可能性があり、プラスチック製だと割れたり欠けたりするかもしれません。また補強の金具があるものは外れたときに異物混入の危険が高まります。

    製造業は紙業務そのものの負担だけでなく、それに付随するアイテムにも気を使う必要があるため、そうした管理にも手間がかかります。社員の業務負担を解消し、業務効率化を図るためにも、なるべく早くペーパーレス化に乗り出すことをおすすめします。


    製造現場におけるペーパーレスのメリット

    製造現場におけるペーパーレスのメリット

    こちらでは、ペーパーレス化することで得られるメリットについて解説します。

    業務効率化

    情報をデータ化し管理することで、いつでもどこにいても必要な情報を確認できます。例えば、製品の図面を確認する際、これまではたくさんの分厚い書類の中から情報を探していたところ、キーワード検索などで瞬時に見つけられるようになります。

    また、稟議書や経費申請書類の作成・提出・承認作業も、紙書類ではなくデータ上で行えるようになります。申請業務は時間がかかりやすく、現場と管理者の間で書類が行き来することもあるため、現場と本社、支店と本店などの物理的に距離がある場合は、紙の移動時間が発生するので時間がかかってしまいます。しかし、ペーパーレスになれば無駄な時間を省くことができ、業務効率化を図れるのです。

    人手不足の解消

    ものづくりに従事する技能人材の不足は製造業における重要課題といえますが、DX化・ペーパーレス化によって単純な業務を自動化したり、ヒューマンエラーによる誤発注を防いだり、データ活用によって作業効率を高めたりすれば、人手不足を補うことができます。

    コスト削減

    ペーパーレス化することで、紙代やインク代などの印刷にかかるコストはもちろん、文房具のコスト、棚やバインダー、倉庫などの保管にかかるコストも削減できます。一つひとつの備品の費用は微々たるものかもしれませんが、積み重なれば負担は大きいもの。コストを削減できれば、必要な部署や新たな事業に費用を回すこともできるでしょう。

    書類保管場所の削減・有効活用

    紙書類を処分したり棚そのものを撤去したりと書類保管場所を解放できるため、工場の生産ラインを広くするなど、スペースを別のことに有効活用できます。また、データ化によって情報へのアクセスが容易になれば、わざわざ保管場所に出向く必要もなくなるため、移動にかかる時間も業務にあてられます。

    セキュリティ対策

    データ流出による情報漏洩を不安視する方もいるかもしれませんが、セキュリティソフトの導入やパスワードによる運用などを行うことで、紙書類の紛失や盗難リスクよりも情報漏洩のリスクは低くなります。

    脱属人化

    紙業務は記載方法や作成方法、保管方法などが人によって異なるため、属人化が起きやすいといえます。また部門ごと、工場ごとでもやり方が変わるため、例えば人事異動などがあった場合に混乱を招きやすいです。しかし、ペーパーレスのために同一システム(生産管理システムなど)を導入すれば、情報が会社で共有されるようになるため、脱属人化を図れます。

    また、クラウドサービスの安全性は日々高まっているため、ペーパーレス化の推進はおすすめといえます。


    製造現場のペーパーレス導入の流れ


    製造現場におけるペーパーレス化は、下記の流れを意識して行うことが大切です。

    業務の洗い出し・可視化

    まずは、それぞれの部門の業務の洗い出し・可視化を行います。紙やExcelといった業務の管理方法、部門間・工場間・取引先とのやり取りの仕方(FAXやメール)、それらに関係する書類・帳票類などを洗い出し、現状の課題をまとめます。

    業務やフローを電子化できるか、した場合にはどのような問題が起こりそうか、それをカバーできる改善策はあるかなどを考え、今後の方向性を決めましょう

    データの選別・見直し

    ペーパーレス化するといっても、全ての紙業務をなくすわけではありません。紙のままのほうが良い業務もあるでしょうから、それらを踏まえた上でペーパーレス化できるものを選別します。

    目標の設定

    ペーパーレスによってどのような結果を得たいのか、最終的にどうありたいのかという目標を設定しましょう。目標設定を誤ると、ペーパーレスはできたけど作業量が増えて効率が落ちた、社員からの不満が増大したなど、マイナスの結果を招く恐れがあります。

    システムの選定

    ペーパーレスを実現するには、システム・ツールを導入する必要があります。いざ導入しても役立たない、定着しない、効果が出ないでは意味がないため、システムの選定では下記4つのポイントを参考にしてみましょう。

    ・課題の解消と目標達成に近づける機能がある
    ・費用対効果が見込める
    ・使用しているDBなどと連携できる(自社に適している)
    ・いまだけでなく先々にも対応できる


    製造現場でペーパーレスを成功させるポイント


    製造現場でペーパーレスを成功させるポイント

    ペーパーレス化のよくある失敗は下記記事にてご紹介しておりますので、下記メリットと一緒にご参照ください

    ペーパーレス化に失敗する理由とは?成功させるためのポイント・メリットを解説

    準備不足で導入するとペーパーレス化は失敗します。本記事では、ペーパーレス化が失敗する原因と成功のポイントを解説します。JBATのソリューションシステム「Qanat Universe」の導入事例についてもご紹介しているので、ぜひご覧ください。

    ペーパーレス化に失敗する理由 ≫

    こちらでは、ペーパーレスを成功させる4つのポイントをご紹介します。

    導入コストの見積もりを取る

    ペーパーレス化にはデジタル機器やシステムの導入が不可欠です。導入コストの見積もりを取り、費用対効果を確認しましょう。

    社内教育

    デジタルに苦手意識を持つ社員や、ITリテラシーが低い社員もいるでしょう。そういった社員の気持ちを置き去りにペーパーレスを進めると、社員の不安や不満が増大する恐れがあります。実際にペーパーレスに取り組むのは現場の社員です。社員の声に耳を傾けながら、社内導入を進めていきましょう。

    不具合などの事前準備

    デジタル機器やシステムでは、不具合や障害が起こることもあります。トラブルが起こっても混乱しないように、マニュアルを作成する、こまめにバックアップをとるなどの事前の準備・対策を講じましょう。

    段階的にペーパーレス化を行う

    ペーパーレスは、慣れるまでは作業スピードが落ちたり社員に負担がかかったりするため、一気に進めるのは得策ではありません。例えば、図面・資料のデータ化といった優先度の高い業務から少しずつ、段階的にペーパーレス化を行うのが望ましいといえます。段階的に進めることで思わぬ問題点や課題が見つかることもあるため、PDCAサイクルを回しながら目標に向けて舵取りを行いましょう。


    製造現場のペーパーレス化・業務効率化の事例紹介

    こちらでは、製造に携わる企業のペーパーレス事例をご紹介します。

    芙陽工業株式会社

    芙陽工業株式会社は、フォークリフトのフォーク(爪)の製造を専門とする老舗の鍛造メーカーです。業務効率化を目指す上でネックだったのが、膨大な紙資料とExcelだったという同社。管理する担当者も保管場所も異なり、ほしい情報を得るためには労力と手間をかけなければならない現状でした。

    現在、サイボウズ社の「kintone」と、JBアドバンスト・テクノロジー株式会社のkintoneプラグイン「ATTAZoo+(アッタゾー プラス)」を使用し、作業環境のIT化を推進中。ペーパーレス化はもちろん、データ連携による事務作業の自動化なども行いながら生産管理などの業務効率化を進めています。

    芙陽工業株式会社の事例詳細

    芙陽工業株式会社の事例詳細はこちら

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    事例詳細 ≫

    まとめ


    紙文化が根強い製造現場において、ペーパーレス化は難しい側面もあります。導入コストや教育体制の整備などに不安があるという方もいるかもしれませんが、業務効率化やコスト削減、人手不足の解消、脱属人化などの多くのメリットを享受できるため前向きに検討してみても良い施策といえます。

    まずは自社の課題を洗い出し、システム導入などで解決できるかどうかを考えてみましょう。全ての業務をペーパーレスにする必要はないため、これは紙で、これはデジタルで、というように両方の良さを活かして製造現場の問題・課題を解消してみてください。

    ペーパーレス化についてお悩みの方は、JBアドバンスト・テクノロジー株式会社にご相談ください。

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