病院やクリニックなどでは人手不足が問題になっており、それにより「業務が回らない」「残業や深夜勤務が多く断れない」などの悩みを抱えている方も少なくありません。
診療や治療、看護などの人がやるべき業務の改善はすぐにはできませんが、書類作成や整理などの事務的業務の方法を改善できれば、人手不足でも仕事の効率化を図ることは可能です。
そこで今回は、医療業界が抱える業務課題や改善方法、おすすめの医療デジタルツールなどをご紹介します。医療関係者の方は、ぜひご参考にしてください。
- 目次
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- 近年の医療業界が抱える課題
- 医師・看護師の人手不足
- 労働力人口の減少
- 複雑で非効率な看護業務による負担増加
- 病院内の業務におけるよくある課題
- 医療書類の作成に時間がかかる
- 患者さまの情報共有がスムーズにできない
- 電子カルテへの転記作業に時間がかかる
- 書類の管理が大変
- 病院の業務を改善する方法
- 労働時間の見直し
- 書類管理の電子化
- 問診表や診療予約をデジタル化
- 業務改善を推進できるおすすめの医療デジタルツール
- 診療予約システム
- 電子カルテ
- Web問診票
- AI OCR(手書き字の文字認識によるデジタル化)サービス
- 病院業務改善に関するよくある質問
- マニュアルや議事録をサーバーで管理することは法的に問題ないのか?
- 病院業務をデジタル化したいが、何から始めたら良いか分からない
- JBAT「ペーパーレスソリューション」導入事例
- まとめ
近年の医療業界が抱える課題
近年、医療業界が抱える課題は増えており、主に下記のことが問題視されています。
医師・看護師の人手不足
まずは、医師や看護師の不足です。厳密にいうと、看護師や介護士など医療や福祉に従事する就業者は年々増加傾向にはありますが、地域別・診療科別の偏りによる医師不足・看護師不足が問題視されています。
これまでは高齢者の急増に目が向けられていましたが、いまでは現役世代の急減(労働力人口の減少)が危惧されています。
2025年以降、現役世代はさらに減少し、医療・福祉に従事する就業者の数は不足すると考えられています。
労働力人口の減少
先でも述べたように、現役世代の急減(労働力人口の減少)も医療業界の課題です。
総務省統計局が発表した
「第1就業状態の動向 1労働力人口」によると、労働力人口は2022年平均で6,902万人となっており、前年よりも5万人ほど減少しています。
また、15歳〜64歳の労働力人口は5,975万人と前年よりも6万人も減少しています。
複雑で非効率な看護業務による負担増加
医師はもちろんですが看護業務も負担が大きく、早急な対策が必要です。看護師は診療や治療のサポートなどといった直接的な看護業務に加えて、患者の検診記録の記入や申し送り、医療関係物品の補充・点検など間接的な業務も行います。
また、新人教育・指導を行ったり雑務を任されたりと、複雑かつ煩雑な業務を担当することも少なくありません。
ひと昔前から変わらない非効率な業務形態を取っている病院やクリニックもあり、そうなると看護師の負担は相当大きくなります。
病院内の業務におけるよくある課題
こちらでは、病院内の業務課題について解説します。
医療書類の作成に時間がかかる
病院やクリニックでは、カルテやレセプト、診療記録、診察・検査予約など、日々大量の医療書類の作成や記載、データ入力などを行います。
本来の業務と並行して行うため、多くの時間と労力がかかり、現場の負担を増大させる結果となっています。
患者さまの情報共有がスムーズにできない
患者さまの情報共有はカルテなどを使用して行われますが、業務が効率良く回らないと患者さまの情報共有が疎かになり、医師や看護師、ソーシャルワーカー間で連携がスムーズになされず、診療方針の決定が遅れてしまいます。
また、毎回同じ人が業務を担当することにより、特定業務の属人化が起きてしまうこともあります。
電子カルテへの転記作業に時間がかかる
電子カルテへの転記作業に時間がかかるという課題も抱えています。また、現場の看護師などの年齢層が高くなると、パソコンを扱うことへの苦手意識を持つ方も増えてくる傾向にあります。
分からない若い人材に任せるということを繰り返すと属人化が起きやすくなり、また抱え込んだ業務量の多さから転記作業の優先度が下がったり記入ミスが起きたりといった負の連鎖を引き起こします。
書類の管理が大変
「書類の作成や管理が大変」と感じている医師・看護師は少なくありません。
「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、書類作成などの業務を負担に感じている医師の割合は64%と最も高くなっています。
病院の業務を改善する方法
帳票を電子化するメリットは、主に下記の4つです。
労働時間の見直し
まずは労働時間の見直しです。残業や夜勤が多いと心身は疲弊したままです。
疲れた状態で仕事をしても追い込まれるだけですし、やりがいや楽しさを感じられなくなってしまうでしょう。労働時間に違法性がないか、きちんと管理しなくてはなりません。
書類管理の電子化
書類整理の電子化も大切です。書類の手入力や管理業務は、ある程度システムでカバーすることが可能です。
本来の医師業務・看護業務をより良くするためにも電子化を検討しましょう。
問診表や診療予約をデジタル化
問診表や診療予約をアナログ作業で行っている病院・クリニックは少なくありません。
しかし、その都度確認や転記の手間が発生するため業務としては非効率でしょう。デジタル化できれば現場がラクになる他、来院予定の方も問診表の記載などをスピーディーに済ませられるため時間の節約になります。
業務改善を推進できるおすすめの医療デジタルツール
医療現場のサポートのため、デジタルツールを上手に活用しましょう。医療デジタルツールには、主に下記のものが挙げられます。
診療予約システム
診療予約システムを導入すれば、患者さまはWebやアプリを使用して予約ができます。スタッフの電話対応の負担を軽減できるので、必要な業務に時間をあてることができるようになります。
電子カルテ
電子カルテを使用すれば、パソコンだけでなくタブレット端末からも簡単に入力ができます。
予約管理ツールと連携することも可能なので、患者さまの状態を確認しつつ来院予定まで把握することができます。
Web問診票
診断に必要な質問を行うなど、診察前の問診をスムーズに行うことが可能です。患者さまが入力した情報は電子カルテに自動入力されるため、スタッフが転記する必要はありません。
また、システム・ツールによってはおくすり手帳や紹介状をスキャンする機能もあります。
AI OCR(手書き字の文字認識によるデジタル化)サービス
患者さまが記載した問診表などを自動で読み取り、文字データとして保存できます。
認識率の高いサービスを利用すれば、手書き文字も瞬時に読み解くため情報の記載ミスを減らせるでしょう。
スタッフの転記作業をできる限り省くことで、業務効率を改善できます。
病院業務改善に関するよくある質問
こちらでは、デジタル化によって病院業務改善を行う場合によく聞かれる質問をご紹介します。
マニュアルや議事録をサーバーで管理することは法的に問題ないのか?
サーバーで管理すること自体は、法的には問題ないと考えられます。ただし、以下の点に注意が必要です。
・マニュアルや議事録に記載の個人情報や機密情報の不正アクセスや情報漏洩を防ぐ必要がある
・法定保存文書として一定期間保存しなければならない場合は、電子化の際に電子帳簿保存法などの法令を遵守する
以上の点を踏まえ、マニュアルや議事録をサーバーで管理することができれば、業務効率化やコスト削減などのメリットを享受できると考えられます。
病院業務をデジタル化したいが、何から始めたら良いか分からない
病院やクリニックによって業務課題は多少変わると思いますが、人手不足による業務負担の増大はどの病院でも議題に挙がる問題ではないでしょうか。
医師や看護師が本来の業務に集中できないほど書類作成や整理に追われているなら、手入力で行う業務を自動化できるシステムの導入からはじめたほうが良いでしょう。また受付時間や問診時間を短縮し、その分の時間を別の作業にあてたいと考える現場スタッフもいるはずです。
まずは病院やクリニック内にどんな業務課題があるのか、何を改善すれば業務負担を軽減できるのかを考えて導入するシステムを考えてみましょう。院内での聞き取り調査も業務改善の方向性を定めるのに大いに役立ちます。
JBAT「ペーパーレスソリューション」導入事例
JBアドバンスト・テクノロジー株式会社(以下、JBAT)の「QanatUniverse ペーパーレスソリューション」は、ペーパーレスに特化したサービスです。
請求書の振り分けや転記業務、アンケートの電子データ化などあらゆる紙業務に対応できる他、最先端のAI技術を搭載したAI OCR技術によっては、手書き文字でも99.2%という高い読み取り精度でデジタル化をすることが可能です。
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まとめ
医療業界の人手不足は深刻ですが、労働力人口が減少しているいま、
少ない人員でも業務が回る体制を構築することが重要です。
人がやる作業、デジタル化する作業を見極め、医療デジタルツールを導入して業務改善を図りましょう。
書類の整理・デジタル化にお悩みの方は、ぜひJBアドバンスト・テクノロジー株式会社へご相談ください。