スイッチングハブ使用時の考慮点

Power2Net シリーズ

スイッチングハブ考慮点(参考資料)


スイッチングハブは以下の特性により、まれにご使用いただけない場合があります。

 

はじめに

Power2Netで使用しているプロトコルの性質上、スイッチング・ハブを使用することによって「印刷されない」等の障害が発生する場合があります。Power2Netは通信開始に対して、常に受け側にあります。その基でスイッチング・ハブを使用することによって発生する障害原因ついて説明します。

 

スイッチング・ハブについて

スイッチング・ハブは、データ・フレームの中に格納されているあて先端末のアドレス(MACアドレス)を読み取り、その端末を接続しているポートにだけデータを転送するものです。

ただし,MACレベルのブロードキャスト・パケットは全ポートに転送されます。

これを実現するために、ポートに接続されている端末のMACアドレスを記憶しておく必要があります。

ポートに接続されている端末のMACアドレスは、ブロードキャスト・パケットに端末が応答パケットを返した時など端末がパケットを送信することで記憶されます。

Power2Net側から通信を開始することはありませんので、相手からのブロードキャスト・パケットを受信したことに対する応答パケット送信で、スイッチング・ハブはMACアドレスを知り記憶されます。

記憶されたMACアドレスは、パケットの送受信がなくなると数十秒(メーカによる)経過で消去されます。

これは、MACアドレスを記憶した端末を別の端末等につなぎ換えられた時、つなぎ換えられた端末のMACアドレスを新たに記憶する必要があるために行われている動作です。

この動作はつなぎ換えていない場合でもパケットの送受信が途絶え、数十秒間経過すると消去されます。

この場合は、改ためて接続端末のMACアドレスを得る動作が必要となります。

 

TCP/IPによる通信について

TCP/IPプロトコルによる通信は、各端末が持つIPアドレスで管理されています。

しかし通信フレーム中ではあて先MACアドレスが使用されるため、通信相手となる端末のMACアドレスを知る必要があります。

そこでIPアドレスとMACアドレスとの関連をとるため、通信を始める前にArp(address resolution protocol)をブロードキャストします。

これにより相手先IPアドレスとMACアドレスの関連付けを行い、その後通信フレームの送受信が可能となります。

このArpによるIPアドレスとMACアドレスの関連づけを、通信開始毎にブロードキャストすることを減らすため、関連づけ情報を一定時間保持するようになっています。

その間はArpによって得られたIPアドレスとMACアドレスの関連情報を用いて通信を開始します。

この一定時間というのがAS/400の場合、「Arpキャッシュ・タイムアウト」としてデフォルト5分,1~1440分で設定可能となっています。
(TN3270サーバーについては各メーカーによって異なると思います)

 

スイッチング・ハブを使用することによって発生する問題点

「スイッチング・ハブについて」で説明しましたように、ポートに接続された端末のMACアドレスはパケットの送受信が途絶え、数十秒間経過すると記憶されていたMACアドレスが消去されます。

TCP/IPプロトコルによる通信を行うためのIPアドレスとMACアドレスの関連づけ情報も、一定時間経過しなければ新たな通信に対してArpを行いません。

すなわち、スイッチング・ハブがポートに接続されている端末のMACアドレス情報を消去する時間と、AS/400<が通信を開始するとき(印刷を開始するとき)にArpを行うか行わないかを管理している時間に連係が取れていません。(タイムアウトが各々無関係に発生します。)

 

結果

スイッチング・ハブが接続端末のMACアドレスを消去した後に、AS/400からの印刷開始がArpなしから行われた場合、スイッチング・ハブはデータ・フレームの中に格納されているあて先端末のMACアドレスを読み取り、その端末を接続しているポートに転送しようとしますが該当すMACアドレスの端末を見つけだすことができない事態となります。

そのため印刷されない現象が稀に発生してしまいます。